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う。お別れを早くする。生きている方の前では、静かにお別れできるような雰囲気を演出してターミナルにもっていく。医術はパフォーマンスなのです。ターミナルにあっては医学や看護学などではなく、医療であり看護なのです。そのときにバイタルサインが参考になりますから、一例一例きちんとデータを積み上げていってください。
そして、とくに痛みについてはみなさんがきちんと評価をして、医師の処方を変えるところまでもっていかなければならないのです。医師の処方を忠実に守るのがあなたたちの仕事ではないのです。医師はチラリと見ているにすぎないのです。痛みの表現にはみんな個性があります。患者さんが痛いというのを信じて、大げさだなどとは言わずに、どうすればよいのかをきちんと評価してほしいと思います。みなさんがターミナルでこれから取り組むのは新しいことが多いのです。患者のためになるならば法律などは無視してもいい。ゴールは“患者さんのため”ということです。勇気をもってやってください。医師とよいコミュニケーションを保ち、チームプレーをやってください。医師のとるバイタルサインがいまはとても貧弱になっています。ナースの仕事は医師の診断を助けることではないというのですが、いまや医師やナースやソーシャルワーカーが家庭を訪問してバイタルサインを評価する時代になっています。これは医師の領域だとかナースの領域だなどとは言わないで、必要なときには互いに自分の能力を十分に使えるようにしてほしいと思います。
医師と看護婦は見るポイントは違います。違うけれども共同の作業がある。診断と治療と評価をナースと医師の両側からやって、両方からよい診断や治療方針を決めることが必要です。だんだんと病院のベッドは減って、将来、外来や自宅で治療するようにな

 

 

 

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